プロ野球(主にホークス)考察ブログ

野球の記事には旬と味わいが必要だ。旬を捉えるのは新聞記者にお任せするとして味わいの部分を探求していくブログです。

惜別球人:攝津正

昨日、ホークス摂津の引退会見が行われました。

2009年のデビューから10年間のプロ通算成績は、以下のとおり。

 

成績:282登板 79勝 49敗 1セーブ 73ホールド 通算防御率2.98

獲得タイトル:新人王、最優秀中継ぎ最多勝、最高勝率、沢村賞

 

なかでも特筆すべきは沢村賞と最終中継ぎを獲得した選手は攝津ただ一人です。

というわけで先発として、中継ぎとしてフル回転した攝津投手の軌跡を振り返ります。

 

Topic1:圧倒的制球力

 

攝津といえば小さいテークバックから針の穴を通すようなコントロール

また、プロ野球ファンの間では有名ですが、西武の栗山は攝津を絶賛し続けています。

 

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そしてなかでも、アウトコースインコース低めへのストレートは抜群でした。

引退に際して発表された元同僚細川も、「摂津の右打者への直球はピカ一だった。あの直球があったからこそ、カーブもシンカーも生きた」とコメントしています。

 

その抜群の一球を表しているのが2011年の日本シリーズの最後の1球です。

カウント3-2からのアウトコース低めへのキレのあるストレート。

動画自体は少し長いので05:30辺りをご覧ください。

 

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Topic2:どんな場面でもポーカーフェイス

 

どんなに厳しい場面を迎えても、どんなに厳しい場面を抑えても基本的には表情を変えません。ポーカーフェイスと書きましたが、どんな場面でも緊張感の漂う表情をしていました。それは上の動画の日本一を決めたシーンでも同様です。05:40あたりからご覧ください。

これも本日付の西日本スポーツの記事ですが入団時の攝津の様子を一学年上にあたる馬原も「いい顔をしてるなぁ~と。内からにじみ出る、魂みたいなものです。ハッとなりました。」と評しています。

いわゆる「精悍な顔つき」というのはまさに攝津の表情ではないでしょうか。

 

また、攝津といえば始球式の際にどんなタレントがきても表情を変えずにポーズも同じことが一時期話題になりました。昨年稲村亜美さんが中学生に取り囲まれたニュースの時にも一部ネット民が「攝津を見習え」とスレが立っていたようです。

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攝津 始球式 の検索結果

 

Topic3:3年間の低迷/そして復活勝利

 

冒頭に紹介した通算79勝のうち75勝は2015年(7年目)までに挙げた勝ち星です。

最初の2年間は70試合登板、その後の5年間は5年連続2桁勝利と、まさに「リアルマイライフ(パワプロ用語)」と言われる選手生活を送っていましたが、2016年からの3年間は勝ち星が2→0→2と激減してしまいます。

原因は多くのところでいわれている勤続疲労かと思いますが、実際2014年に1度肩の不調で登録抹消された経験があり、その辺りから攝津本来のストレートのキレが少し陰りを見せていたように思います。

映像かつ感覚的な言葉になりますがそれまで「ピュッ」と行っていたボールが「ビューン」と、少し打者からすると余裕をもって対処できるボールになってしまった感があります。

そして、同時期に東浜や千賀を筆頭とした若手の台頭もあり2軍暮らしが長くなります。一方、時を同じくして結婚し可愛い女の子が産まれたのもこの頃です。

 

ただ、ここから紹介したいのですが、こういった苦境に立たされても野球に対する姿勢が腐らないのが攝津の凄さです。2016,2017,2018いずれも2軍で13試合に登板しており、特に2017→2018に関しては防御率も1点以上改善されています。

 

そして2018年5月22日福岡での西武戦で2年ぶりの復活勝利を挙げます。

その感動のヒーローインタビューがこちら

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全盛期はヒーローインタビューもほとんど顔を出さない攝津でしたが、ファンへの感謝とともに2歳になる娘さんに自分の野球選手としての姿を見てもらいたいという理由も込めて今シーズンの2勝はいずれもお立ち台に上がったとのことを後から知りました。

 

苦悩の末復活を遂げた攝津。しかし一方で2勝の内容もピンチを作りながらなんとか抑えていく形だったこと、投手の若返りというチーム方針もあり退団・12月末まで他球団からのオファーがなかったため、引退となりました。

 

個人的には常には難しくともピンチのシーンで投げていたストレートや変化球は素晴らしく1日10球魂込めて投げる中継ぎ投手ならばまだやれるような気もしていましたが、ホークスは中継ぎの層が厚く、他球団としてもそこに制約がかかるとなかなか取りにくいということもあり今回の決断に至ったのではないかと推測しています。

 

 

そして今回の引退に際し、「最後の3年間が自分には有意義だった。色んな苦労も味わったし苦労しているほかの選手の姿もみてきた。将来は指導者になりたい。」というコメントを残していることからも、いずれはホークスで指導者として帰ってきてくれるのではないでしょうか。攝津さん。とても良い指導者になりそうです。

 

ひとまずやりたいことは「釣り」とのことなので、次回攝津をテレビで見るときはこの番組かもしれません。ちなみに攝津さん、釣りの時はポーカーフェイスでなく、めちゃくちゃ笑顔です。余談ですが攝津の弟子にあたる森も釣り好きです。

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攝津さん、おつかれさまでした。