デニス・サファテ
今日は今までと趣向を変えて選手紹介です。
今シーズンのサファテはとにかくすごかった。
・セーブ日本記録更新(54セーブ)
・セーブ成功率98%(54セーブ/55機会)
※1回の失敗も同点にとどまり勝利投手に。
この栄誉をたたえて球団は銅像の建設に動き出しているようです。
どういった像になるかわかりませんが、
きっとホークスファンはみんサファテの勝利のポーズで拝み倒すことでしょう。
そしてこの結果はもちろんのこと、ここに至る経過こそが今日紹介したいことです。
トピック①:ホークス入団からこれまで
言わずもがな、来日当時は広島で当初の年俸は4500万円、
そこから西武を経由してホークス入団時の年俸は1億円の2年契約。
それまでの3年間も毎年50試合近く投げて防御率も1点台か2点台。
確かに今のような絶望感はなく危なかしさはあったものの、よくこの金額でとれたなというところです。求められた役割は前年までファルケンボーグが務めたセットアッパー・・かと思われましたが、8回五十嵐・9回サファテが確立し、あの劇的な松田のサヨナラ優勝タイムリー、そして日本シリーズでの西岡の守備妨害での優勝決定につながるシーズンとなったのでした。
結果、この年のサファテの成績は37セーブで防御率1.05。
翌2015年も41セーブで防御率1.11。日本シリーズ連覇に大きく貢献。
そして昨年は43セーブで防御率1.88。
昨年も十分すごいシーズンなのですが、勝敗は0勝7敗。
なぜか同点の時に出てくると打たれるので「同点でサファテ」はホークスファンにとって鬼門になりました。また、昨年余裕がなくなった工藤采配が懲りずにこれを連発したため、監督への風当たりも強くなっていきました。
そして迎えた2017年。
最初のインタビューでは以下のような言葉を残しています。
「去年は自分が7敗もしたから優勝できなかった。オフはばっちりトレーニングしたし、今年はそれを取り返すためにやってきた。」
そしてサファテの2017年が幕を開けたのです。
トピック②:一時帰国
開幕から3試合連続セーブなど、順調にセーブを積み重ねたサファテ。
投げるストレートは昨年までよりえぐいし、変化球の精度も高い。
当時のインタビュー記事でも今年にかける意気込みやチームメートへの想いがあふれ出ていて「ほんとかっこいいなあ」と感じていたものでした。
「1年、長くて2年で帰るつもりだった」(デニス・サファテ単独インタビューその1)(菊地慶剛) - 個人 - Yahoo!ニュース
「(名球会の)グリーンジャケットが欲しい!そうなれば…」(デニス・サファテ単独インタビューその2)(菊地慶剛) - 個人 - Yahoo!ニュース
そんな矢先、5月下旬に夫人の体調不良の見舞いで一時帰国します。
ここで一つ目の奇跡が起こります。
この期間6勝4敗で乗り切るのですが、なんとその期間セーブ機会「ゼロ」。
また、サファテを思う内川さんがお立ち台でわざわざマイクを持ってサファテへのメッセージを伝えるシーンもありました。
チームを信頼し、チームメートから愛されるサファテはすごい。
トピック③:采配批判
結果は独走優勝でしたが、シーズン途中までは楽天とのデッドヒート。
今年は先発陣にけが人が相次いだこともありリリーフの負荷が大きくなっていた最中、8月頭の試合でサファテがついに怒ります。
「先発陣が早く降板して中継ぎ陣に負担が集まってみんな疲れている。」
確かに並の選手がこれを言っていたらもっと大きな問題になっていたかもしれませんが、言っていることは確かにその通りかつ新聞報道が出た翌日、サファテが工藤監督のもとに謝罪に行ったそうです。そしてお互い話し合って納得したという顛末ですが、こういった行動がすぐにできるところがまたすごいところだなあと感じます。
少し余談ですが、2015年は「育てながら勝つ」を実践して去年は日本ハムの強烈な追い上げの前にその前提が崩れ立て直しが効かなかった面もあり今年はもう「何が何でも勝たないといけない」なかで本当にリリーフみんな疲れている感じがしたので、あのまま采配側の都合だけでチームが進むよりこの発言があったことでチームにとってよりプラスになった感があります。
こういった取り方によってはチームを左右する発言は、タイミングとその人が積み重ねてきたものがあるからこそ響くし、その後の行いが大切のですね。
トピック④:球史に残る日本シリーズ3イニングの熱投
そして最後は日本シリーズの3イニングです。
9回は1点ビハインドで出てきてあっさり3人で終了。
10回は牽制悪送球からピンチを作るものの主軸を切って終了。
これで10回にサヨナラ勝ちしたらサファテさすがだよね。となります。
しかし、試合はもつれ11回もマウンドに上がって、その裏のサヨナラにつながります。
9回の内川のホームランも、11回に松田のサードゴロを宮崎が悪送球したことも、そしてサヨナラの場面で送球がイレビュラーしたこともすべてがドラマよりもできすぎたシナリオでした。
そして優勝後のインタビューでは、「シーズン中に一時離脱してチームに迷惑をかけたので今日は自分がチームのために頑張る番だと感じて3イニング目に投げた」と語っていました。
この一連の展開、本当に野球漫画にありそう。いや、野球漫画でも描けないシナリオでした。
おまけ:NPBアワードでの来日
先日NPBアワードと呼ばれるその年のタイトルホルダーやベストナインに選ばれた選手の表彰式がありました。例年外国人選手はすでに帰国しており欠席で代理の人が表彰を受けるのが当たり前ですがその場にサファテは現れます。しかも日帰り。
「ファンや日本野球のために来た。」としれっといいますがこれはなかなかできません。
来年は名球会入りの条件となる250セーブを達成することでしょう。
KING OF CLOSERはまさに彼のための称号です。